伊勢市女性記者行方不明事件 -5-

これは『伊勢市女性記者行方不明事件』に関する記事の【パート5です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1】からお読みください。

伊勢市女性記者行方不明事件 -1-

伊勢市女性記者行方不明事件 -2-

伊勢市女性記者行方不明事件 -3-

伊勢市女性記者行方不明事件 -4-


 

辻出さん失踪に関与しているとして、別件逮捕されてしまったX―、
その拘留中、一貫してそれを否認。それだけではなく、Xはこの拘留中に辻出家へ一通の文書を送っていた―。

 

事件の解説と筆者の推察

【ホテトル嬢A逮捕監禁事件】無罪判決後のX

拘留中、辻出家へコンタクトを取っていたX。これは書面で行われ、自身の弁護人である室木の署名入りで提出された。

「この逮捕監禁事件で無罪を勝ち取った暁にはすべてを話す」

 

この手紙を受け取った辻出さんの両親は―、
Xが辻出さん失踪の真相を知っているとして、逮捕監禁事件を見守った。それもそのはずで、当初から両親は”Xが娘の失踪に関与している”と確信を抱いていたからだ。

そしてXの無罪判決後(釈放)の翌日、両親がXに面会を求めると―、

 「私たちはマスコミ報道に我慢ならない」

 「やるだけ無駄だという結論になった」

 「いくら灰色といわれても放っておく。もちろん、人権を侵害するような報道には法的な処置をとる」

 「伊勢文化舎の代表が怪しい」

 

こうした支離滅裂な理由から面会を拒否した。さらには、

 「今後もし話をする気になったら、”内容をマスコミに漏らさない”、”回答をあげつらうような質問をしない”などの条件付きの上で、弁護士を通じてあなた方に連絡する。それまであなた方からの連絡は拒否する」

 

として、両親との接触をしない旨を一方的に宣告した。
尚、これらの声明は義兄を通した間接的なものであり、これらからは”辻出家とは関わりたくない”というXの心情がみてとれる。

 

⇒【筆者の推察】Xの「無罪を勝ち取った暁にはすべてを話す」は嘘

拘留中のXが辻出家に投げかけた

「この逮捕監禁事件で無罪を勝ち取った暁にはすべてを話す」

という言葉。
事の顛末をみると、それはXが無罪判決を勝ち取るための単なる布石に過ぎなかったということ。要するにそれは嘘であり、端からすべてを話すつもりなどなかったのである。(実際に辻出さん失踪に関して、Xが何か知っていたかはさておき)
つまり、“無罪を勝ち取った暁には”という部分がポイントであり、これを受け取った両親にしてみれば、”Xが無罪となれば、失踪の真相がわかる”と期待を抱いてしまう。すると両親がXを無罪にするために力添えをするかもしれない。または、辻出さんの両親を介してそれが警察・検察の耳に入れば、”見えない力”で無罪となるかもしれない。X側はそこまで計算していたと筆者は確信している。または司法取引があった可能性も考えられる。尚、Xのこの言葉を受け取った両親が、
実際にXの無罪判決のために何かアクションを起こしたかどうかは分からない。
いずれにしても、「無罪を勝ち取った暁には~」というXの言葉は、辻出家のためでもなんでもない。自分のための偽りの言葉であったということ。

そして、晴れて無罪判決を勝ち取ったXにしてみれば―、
拘留中に両親へ投げかけた「無罪を勝ち取った暁には~」のことなどはどうでもよく、”今後一切、辻出家とは関わりたくない”という思いがあったことは間違いない。それは釈放後に両親から面会を求められ、これを断った理由として挙げたどれもが、ちぐはぐで不自然極まりないことからも明らかである。
「今後もし話をする気になったら~」という言葉も、辻出家からフェードアウトするための単なる飾り。話をする気など毛頭なかったというわけだ。

 

釈放後のXはこうした辻出家とのやり取りに加え、この逮捕監禁事件で被害届を出したA及びその2人の証人に対して、連帯で3,000万円を求める損害賠償請求訴訟を提起している。さらには、国と三重県に対し、同じく3,000万円を求める国家賠償請求訴訟を提起した。
結果的にこれらは取り下げられたものの、X側はマスコミに対しても同様の訴訟を起こす構えをみせていたため、その後はメディアはおろか警察さえもXを追及することに対して及び腰になった。
(Xが提起した3,000万円を求める訴訟は、あくまで脅し。実際に取り下げている事実を鑑みても、釈放後に警察やマスコミが寄り付かないようにするための予防線であったことは明らか)

尚、釈放後も沈黙を守り続けるXに対し、業を煮やした父・泰晴さんはあるとき室木を訪ねた。
ところが室木は半笑いで、「あなた方、人の揚げ足取るようなことばかり言って、何にもならなかったな」と吐き捨て、泰晴さんをぞんざいにあしらった。
(この一幕から、辻出家と室木らの間に確執があったことは想像に容易い)

 

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【Xによる証言】辻出さん失踪の夜にフォーカス

“辻出さん失踪には関係ない”と主張するX―、
そもそもなぜXは事件当夜(1998年11月24日)、彼女に会いたかったのか。その理由を任意の取り調べでXは語っている。(’99年1月26日から2月3日の任意の取り調べ時 / 伊勢署にて)

「夜11時過ぎ、保険会社の駐車場で辻出さんと落ち合い、自分の車に乗せた。車内で1~2時間話をして、その後別れてからのことは知らない」

 

Xのこの供述が確かであるならば、「辻出さんとXは25日の深夜1時~2時頃に保険会社の駐車場で別れた」ということになる。しかし、一般に事件当夜の状況として知られる上記のXの証言は、実際にXが口にした内容とズレがあるのだ。
以下はある関係筋が入手した事件当夜のことについてXが言及した内容。これはいわばオリジナルである―、

98年の夏にですね、辻出さんに失礼な電話をしてしまったんです。そのことを謝りたいと、24日の夕方に電話したんです。”22時頃に仕事が終わる”ということでしたので、21時頃に伊勢に着きました。そして22時頃、彼女に電話を入れたんです。すると”23時頃に終わるので待っていて欲しい”と。そこで時間を潰すために保険会社の駐車場で待っていたところ、23時過ぎに辻出さんから電話がかかってきました。私は場所を教えてその駐車場で彼女と落ち合いました」

 

この証言の中での”失礼な電話”とは、’98年の夏にXが伊勢文化舎に入れた「辻出さんにもう二度と電話しないように伝えてほしい」という言づけの電話のこと。
このときXには妻がいたが、名古屋に住む女性と交際していた。Xがこの交際女性と自宅で一緒に過ごしているときに、Xの携帯へ辻出さんから電話がかかってきてしまったことがあった。これにより交際女性に他の女性との関係を疑われたため、Xはカムフラージュのためにそのような電話をかけたというわけである。
(妻がいたXであるが、自宅に交際女性を連れ込んでいる。おそらくこれは、「Xが妻と別居状態であった」もしくは「妻と暮らす自宅のほかにも住居があった」、これらのいずれであると思われる。
また、この名古屋の交際女性とは、Xの家宅捜査で押収したナプキンから浮上した”B型の彼女”である)

 

[Xによる証言]

事件当夜、辻出さんに会いたかった理由:「夏の失礼な電話について謝りたかった」

筆者はこれを最初に聞いたとき、極めて不自然であると感じた。”夏の出来事についてなぜ11月になって謝りたいと思ったのか”。
筆者は
すぐにこれが嘘であると見抜いたと同時に、ある目的のための口実であると確信した。その目的とは、セックス。Xはそのためだけに、「謝りたいから」と適当な嘘をついて事件の夜、辻出さんに会いに行ったのだ。
そして、本事件について調べているうちに、筆者のこの推察
を裏付けるXの供述に行き着いた。それは本事件を真摯に取材してきた西牟田氏による情報であるため、その信憑性は間違いない。(問題のXの供述は次パートにて)

ここでいま一度、放置された辻出さんの車の様子を振り返ると、事件当夜の状況がみえてくる―。


次のパートでは、いよいよ本事件の真相を―。【パート6】へ。