市川一家4人殺害事件 -1-

 

“機能不全家族が生み出した惨劇の種”

 

『市川一家4人殺害事件』の概要

1992年(平成4年)3月5日夕方から翌3月6日朝にかけ、千葉県市川市内にあるマンションの一室で発生した強盗殺人・強姦事件。

事件を起こしたのは当時19歳の少年。
女性関係を巡って暴力団に現金200万円を要求され、これを工面するためにマンションの一室に侵入。一家4人を殺害した。

 

※本記事では「リアルを追及」というコンセプトと被害者への配慮の均衡を図るため、本文中では被害に遭った一家の各人をイニシャル表記とし、実名は記事中の何処かに記します。

 

本事件犯人

中学校の卒業アルバムより (1988年)

関 光彦 (せき てるひこ)


生年月日:1973年(昭和48年)1月30日
千葉県千葉市で生まれる。事件当時は千葉県船橋市本中山2丁目に居住。
19歳時点で身長178cm、体重80kgと大柄な体格であった。
(逮捕時の本籍は東京都江戸川区)

 

【注意】
関 光彦の顔写真とされる「偽物」がインターネット上に出回っています。

ネット上に関 光彦として出回っている写真

こちらは関とは別人であり、横江 直人という別の事件の犯人です。
関の写真は当時本人が未成年であったこともあり、世に出ていません。本記事掲載の写真は、唯一ともいえる関の流出写真です。

 

【事件の解説】関 光彦の生い立ち

うなぎの加工・販売業を営む家に生まれた母・Yと、元サラリーマンの父・Tを持つ関は、複雑な家庭環境の中で育った。

Yの父・Gは戦後一代でうなぎ屋を築き、身を立てた成功者。厳格であったGは娘の交際相手であるTのことを快く思っていなかったが、娘が妊娠したことで結婚をやむなく認める。そして結婚を機にTは退職し、義父となったGの店で働きはじめることに。
このときY・T一家
は千葉県市川市内に住んでいたが、後に同県松戸市に転居することとなった。

 

1976年、3歳で関は幼稚園に入園。その翌年には弟が誕生した。
やがて関は松戸市立和名ヶ谷小学校に入学するも、2年生の時に東京都江東区越中島へ転居。これに伴って江東区立越中島小学校へ転校した。

この千葉県から東京都への転居は、Tの借金に対する取り立てから逃れるためであったとみられる。

 

関 光彦の父・T

東京への転居後、このときすでに店を任されていたTは売上金を使い込むようになっており、その金でギャンブル・女遊び・酒・高級車などで浪費していた。

Gのうなぎ屋はこの時点でチェーン展開しており、そのうちの1店舗をTは任せられた。これは東京都江戸川区の店舗であるとみられる。

 

義父・Gの店を私物化した挙句、その事業に多大な損害を与えたTは、自身の借金もまた膨らませていた。
当初は消費者金融(サラ金)に借金をしていたTであったが、やがて闇金融に手を出すように。そのため、今度は暴力団員などといった反社会組織からの厳しい取り立てに遭うようになっていた。

仕事を真面目にせず、家庭を顧みず快楽にただ溺れていくTは、愛人宅への外泊や妻・Yへの家庭内暴力、さらにはまだ幼い関やその弟に対する虐待を繰り返した。

 

奈落の9歳

幼いころから父に暴力を振るわれる母の姿をみて育った関。自身もしばしば折檻され、その度に祖父・Gの元へ逃げ込んだ。
家庭の中で自分の居場所を失っていた関は、こうして逃げ込むとき以外にも、毎週末のようにG宅に泊まりに行っていた。

関にとってGは―、
優しく接してくれる人物であり、金持ちで働き者。そして頼りになる存在であった。”自分もおじいちゃんのような立派な大人になりたい”と、父とは正反対のGのことを関は心から尊敬していた。

そしてGのほか、関は信仰にも心のよりどころを求めるようになっていく。これは「エホバの証人」の敬虔な信者であった親友の影響であった。
以来、信仰に救いを求めて聖書を熱心に読んでいた関であったが、あるときTに「こんなくだらないものばかり読みやがって」と破り捨てられてしまう。これには関も激昂し、このとき初めて恐怖の存在であったTに食ってかかった。しかしながら子どもが大人の男に勝てるはずもなく、関は殴る蹴るなどの一方的な暴力を浴びながら、強く復讐を誓った。

 

そして―、
夫であり、父であり、義子であったTの素行不良によって兼ねてより歪みが生まれ、破綻の一途を辿っていた家庭は遂に崩壊。関が9歳のときであった。
このときTの借金は億単位にまで及んでおり、Gは資産のほとんどをTに食い尽くされていた。これによりGは一家との離縁を宣告。娘であるYもろとも突き放したのであった。

Tの借金は最大3億円にも及んだといわれている。

 

この一件でTとYは離婚。両親の離婚により、関は害悪な父から解放はされたものの、よりどころであった祖父には絶縁され、働きっぱなしの母は家を空けがち。今度は本当の意味での孤独が、関を襲う―。


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【エホバの証人】
アメリカ発祥の新興宗教。キリスト教系であり、旧約聖書や新約聖書などの唯一神「エホバ」を崇める。
全世界で800万人以上、
日本国内においては20万人以上の信者がいるとされている。(2020年時点)

「エホバの証人」公式ロゴ

エホバの証人といえば、熱心な伝道活動や輸血拒否、兵役拒否などが際立った行動様式として挙げられる。これらに起因した事案や事件も発生しており、その教義を問題視する声も多い。
キリスト教の主流派であるカトリック、プロテスタント、正教会などからは異端として扱われるほか、いくつかの国の政府にはカルト・セクト指定されている。

※この記述は、筆者の同宗教に対する否定的な見解を示す意図ではありません

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