市川一家4人殺害事件 -5-

これは『市川一家4人殺害事件』に関する記事の【パート5です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1】からお読みください。

市川一家4人殺害事件 -1-

市川一家4人殺害事件 -2-

市川一家4人殺害事件 -3-

市川一家4人殺害事件 -4-


 

事件の解説

罪の代償

女子高生の少女を拉致・強姦した1992年2月12日―、
その日の夜に関は、兼ねてより追われていた暴力団の組長に東京全日空ホテル*(東京都港区赤坂)へ呼び出される。

現・ANAインターコンチネンタルホテル東京

そこで関は組長とその部下から、

「お前のやったことは誘拐だ。彼女が在留期限を待たずに帰国したら、店の損害は200万円。あの一件で彼女は帰ってしまうだろうな

そう言われた。
要するにこれは200万円の要求であり、関もこれを理解。そして―、

「責任は取ります」

そう答えてその場を後にした。

旧・東京全日空ホテル (東京都港区)

 

【関を呼び出した組長】
住吉会系列の暴力団。

「住吉会」とは、東京都港区赤坂に総本部を置く博徒系指定暴力団。勢力範囲は1都1道15県。準構成員などを含めた約4,500人から成る。(2019年12月時点)
アメリカ政府より、違法薬物・武器の密輸・人身売買などの犯罪に関与する国際犯罪組織と認定されている―。

このとき組長は関に対し、200万円を遠回しに要求しているが、この”遠回し”というのは暴力団の常套手段である。いわゆる”誠意”。(使用例:「誠意をみせてくれ」「誠意とは何だろうか」など)

尚、ここでの200万円の要求であるが、筆者としては当然のことであると考える。
いわば被害者側である組長が、店の想定損害賠償を求めているのであって、これは筋が通っている。むしろ誘拐・監禁被害に遭った女性への慰謝料を加味すれば、この200万円という金額は良心的、関の犯した対価としては破格とさえいえる。
問題なのはこれに弁護士を介入させていないということ。しかし筋は通っている。

 

自分の犯した罪の清算として200万円が必要となった関―、
しかしこの時点で貯金は無かったため、問題はその金をどのようにして工面するかであった。
組長と対面してからというもの、目下の関心が200万円の捻出となった関は、焦燥に駆られながら金策に奔走した。そしてまた暴力団の脅威に怯え、自宅アパートへは帰らずに車中泊を続ける日々。
自宅へ帰らぬ生活は無駄な支出を生み、このとき関には所持金がほとんどなく、200万円という金などは到底用意できる状態ではなかった。

【関の金策】
それまで母・Yに家賃や車のローンを毎月払ってもらっていた関も、さすがに200万円ともなると無心できなかった。これは祖父・Gに対しても同様であった。
そのため、関にとっては成す術なしの状況であり、これがその後の惨劇に繋がることになる。

 

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愚かな学習

1992年2月25日 5時頃、関は車で県道6号線を走行していたところ、後続車両(運転手:当時22歳 男性)が車間距離を詰めて走っていたことに激昂。車を急停車させ、その進路を絶った。
そして停車した後続車両の元へ関は駆け寄っていったが、その手には鉄の棒が握られていた。

【関の武器 「鉄の棒」】
このとき関が武器として使用した鉄の棒は、祖父・Gのうなぎ屋で使われていた焼台用の物であった。関はこれを店から無断で持ち出し、それを車内に置いて携行していた。長さは約122cm。

うなぎの焼台 (イメージ)
関はその鉄の棒を武器として車内に常備していた。

 

関は手にした鉄の棒を振り回して威嚇しながら、「煽ってんじゃねえよ」と恫喝。少し開いていた運転席の窓から手を突っ込み、エンジンキーを奪い取った。
これには男性側も激怒し、自車に戻ろうとする関を追いかけた。すると関は鉄の棒で男性の左側頭部を殴打。これで血まみれとなり、その場にうずくまる男性であったが、それでも関は容赦なく何度も殴打し続けた。これにより男性は安静加療10日の怪我を負った。(頭部挫創・全身打撲 / 傷害罪)

怒りに任せ、男性に激しい暴行を加えた関であったが、最終的に男性の車の運転席に乗り込んだ。そして助手的に男性を乗せて周辺を走りながら、

「お前のせいで俺の車のブレーキパッドがすり減った」

「煽ったお前が悪い。俺たちの相場では、これは8万だな。28日までに用意しておけ」

「免許証をよこせ。ちゃんと金を払ったら返してやる」

こうしたなんとも無茶苦茶なことを並べて、男性を恐喝した。(恐喝罪)

【俺は暴力団だ】
男性に金を要求する際、関は暴力団員を装っていた。そのため、8万円という金額を持ち出す際に「俺たちの相場では」などと付け加えている。
関はこの日の約2週間前に暴力団組長から金を要求されているが、それを模倣したとみられる。
しかしながら組長のそれと、この日の関がやったことはまるで質が違う。組長の金の要求は道理にかなっているが、関のやったことは単なる恐喝、まさにチンピラのやることである。

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金、とにかく金

暴力団員に成りすまして22歳男性から8万円を要求したその2日後(2月27日 0時30分頃)―、
関は埼玉県岩槻市(現・さいたま市岩槻区)を車で走行していたところ、後続車両(運転手:当時21歳 男子大学生)に追い越されたことに激昂。
その後、赤信号で止まった大学生の車の前へ追い越し
、2台がT字になるよう停車。前方を塞いだ。
これに何事かと大学生が車から降りると関は、「暴力団をなめるんじゃねえ」と凄みながら、ズボンのポケットから取り出した折り畳みナイフをちらつかせた。そして「刺してやってもいいんだぜ」と脅すも、これに手応えを得られなかったことに逆上。本当に大学生の左太ももにナイフを突き刺した。

そして関は、大学生の車の運転席に乗り込み、大量出血で苦しむ大学生を助手席に乗せて走り出した。

車を運転しながら関は、

「お前のせいで俺の車のタイヤがすり減った」

などと2日前と同様の文句で恐喝を試みた。

【お前のせいですり減った】
習得したばかりの「お前のせいで・・・すり減った」の恐喝。
前回はブレーキパッドであったが、このとき関はタイヤバージョンで挑んだ。しかしながら大学生はこれに反応せず。
当然である。支離滅裂なのだから。

 

言いがかりに動じない大学生の態度に逆上した関は、車内でその身体中をナイフで突き刺す・切りつけるなどした。それは20数か所にも上り、大学生は全治6週間の重傷を負った。(全身刺創、全身切創、右手中指・薬指の伸筋腱断裂など / 傷害罪)
車内は血まみれ、大学生自身も真っ赤に染まりながら、車外へ這い出る。その姿をみた関は一瞬、車で轢き殺すことを考えたが、”それよりも金”と大学生の殺害を思いとどまった。
そして関は、大学生の運転免許証と自動車検査証を持ち去った。(窃盗罪)

【持ち去った車検証】
関はこのとき、大学生の運転免許証と併せて車検証を奪い去っている。というのも、この車検証は大学生の父親名義であったから。
つまり関は大学生の恐喝に失敗したことで、ターゲットをその父親へと変更した。金を巻き上げるなら確かにそれは合理的。大学生と父親(社会人)では、その金額の期待値の差は歴然である。

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