秋田園児殺害事件 -4-

これは『秋田園児殺害事件』に関する記事の【パート4です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1】からお読みください。

秋田園児殺害事件 -1-

秋田園児殺害事件 -2-

秋田園児殺害事件 -3-


 

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見て見ぬ虐待

2004年3月にAさんと離婚した後、美香は母子支援施設に入所。
そこは様々な事情を抱えた母子を守るためのいわゆるシェルターであるが、美香はそこでも諒介ちゃんの虐待をしていた。

2004年7月、施設内で美香が諒介ちゃんに睡眠薬を飲ませたり殴っていたことが発覚。通報を受けた中央児童相談所が虐待の事実を確認し、諒介ちゃんを要保護児童に指定。その上で「虐待死の恐れあり」として美香を警戒、2人を引き離した。この措置により美香はそのまま施設に、諒介ちゃんは実家に預けられた。

ところがその翌日、美香は勝手に実家へと戻り、諒介ちゃんとの生活を再びはじめた。これをその2日後に知った児相は懸念しながらも、美香の両親が同居しているという理由から経過観察とした。しかし、そこに落とし穴があった―、

それからすぐに美香は諒介ちゃんを連れ、このとき交際していた男性宅での生活をはじめたのだ。
ところが同居とはいえ、交際男性は新潟県中越地震(2004年10月23日発生)の復興作業に従事していたため、長期間家にはおらず。そのため、それは実質的に美香と諒介ちゃんとの2人暮らしの状態であった。

そして美香の転居を受け、それまで管轄であった潟上市から男性宅のある大仙市に虐待案件の引継ぎは行われていた。そのため大仙市は美香の虐待履歴などを把握していたが、「現状、虐待は認められず」として問題視はしなかった。
一方で、家の前でひとり泣き続ける諒介ちゃんの姿が度々目撃されているほか、諒介ちゃんが顔に痣をつくって登園したりと、周囲の人たちは美香の虐待を強く疑っていた。
ここで悔やまれるのは、美香の虐待を半ば確信していながら、周囲の人たちが誰ひとり通報しなかったということである。

児相は美香が無断でシェルターから諒介ちゃんのいる実家に戻った際、

・再び2人を引き離さなかったこと
・それから一度も面談しなかったこと

これらを特筆すべき反省点として挙げ、その対応に問題があったことを認めている。

 

善か悪か、その人物

母子支援施設から実家へと逃げ出し、実家から大仙市の交際男性宅に移り住んだ美香―、
その生活からみて、美香はこの交際男性の内縁の妻であった。ところが美香は出会い系サイト漬け、相手となる男性の居住地にこだわりはなく、”県内ならどこでも”というように雑多に男を漁る日々を送っていた。

そんな美香であったが、このときすでに数年来に渡る”愛人”がいた。それはAさんの妻であった頃にまで遡る。つまり幼い諒介ちゃんがいるにも拘らず、美香はほかの男と不倫関係を築いていたのである。

この愛人こそ、本事件の共犯者といわれる畠山 博である。

畠山 博
事件当時43歳

畠山は大館市中心部から南東へ20kmほどの山村に暮らしていた。花輪線(十和田八幡平四季彩ライン)を跨ぐようにして分け入る山の中の小さな集落に畠山の実家がある。

実家で家族らと暮らす畠山は、市内の電気会社で働いていたが2000年にこれを退職。その後は電気関係や建築関係の仕事を転々としながらも、2005年8月には秋田県立大館高校の非常勤技師(校務員)として採用されている。

秋田県立大館高等学校

畠山は陸上審判員の資格を持っていたことから、陸上競技部の生徒にアドバイスするほか、県内各地の陸上大会では審判として活躍するなどした。
その人物評は「生真面目」「誰にでも親切」「子ども好き」などいうように非常に良く、周囲が語る人物像とその見た目からは、事件を起こすような人物には到底みえない。

集落では、携帯電話で話しながら速足で歩く畠山の姿が頻繁に目撃されていた。その電話の相手は美香であると思われる。

 

畠山の母親はずっと独身であった息子の結婚を願っていたが、決してそのチャンスがなかったわけではなかった。
畠山が30代後半の頃、交際女性を母親に紹介したことがあった。しかし女性には高校生の子どもがおり、そのことに母親が難色を示したため結婚には至らなかった。

そしてその後、出会い系サイトで美香と知り合うこととなる―。

美香にはほかにも交際していた男性がいたとみられ、愛人の位置づけである畠山も男たちの一人にしか過ぎなかった。むしろ大きく歳の離れた畠山は美香の中では”上位”とはいかず、どちらかといえば疎遠であったとみられる。
しかし内縁の夫が不在がちであったことで、その欲求不満を満たしてくれる畠山に再接近したというのが筆者の見立てである。


そして悲劇へのカウントダウンがはじまる―。【パート5】へ。

 

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