北九州監禁殺人事件 -2-

これは「北九州監禁殺人事件」に関する記事の【パート2です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1】からお読みください。

北九州監禁殺人事件 -1-


 

※本編文章内で示す各人物の年齢は当時のものです

1980年

【松永】緒方への接触 -悪夢のはじまり-

1980年 夏 松永19歳, 緒方18歳

高校を卒業してまもなく、松永は転校前の高校の卒業アルバムをどこからか入手。そしてアルバムに掲載されていた個人情報から、緒方に電話をかけ接触を図った。
2人はクラスが違っていたので言葉を交わしたこともなかったが、この電話での会話で松永と緒方はその後会う約束をした。
(先述のとおり、松永は高校3年時に共学の高校から男子校へと転校させられている。また、現代では考えられないが、その昔の卒業アルバムには卒業生の住所や電話番号が掲載されていた)

【松永はなぜ緒方に接触を図ったのか】
高校卒業後、在校時には接点のなかった緒方に電話をした松永。一見すると不思議であるが、これは松永が真面目で従順な緒方の性格を見抜いており、緒方を”支配できる人物”として選定したものと思われる。
また地元の名士の娘ということで、財産の面でみても緒方はおあつらえ向きであったと推測できる。
尚、言葉を交わしたこともなかった2人がその後会うことになったのは、電話口での松永の巧みな話術によるものであったことは間違いない。

 

1度目のデートでは何事もなかった松永と緒方—、
2度目のデートで松永は行動に出る。それは緒方に「結婚を考えてる相手がいる」と打ち明けるというものであった。
この時点で緒方は松永に対する恋愛感情を抱いていなかったとみられるが、松永は緒方の心を揺さぶるために敢えて交際女性への思いを淡々と語って聴かせた。
そして車で緒方を送る際、松永はアクションを起こす。
運転する車を停め、助手席に座る緒方に無理やりキスをしようとする松永。しかし緒方にこれを拒まれてしまう。

3度目のデート―、
このとき、松永は男性に慣れていない緒方を強引にラブホテルへ誘い、性行為に至った。これを機に、松永と緒方は交際することになる。
ちなみにこの年、松永は兼ねてより交際していた女性と結婚した。

 

筆者:ズボンスキ

松永に対して恋愛感情を抱いていなかったと思われる緒方。
2度目のデートで強引にキスを迫られた時点で、3度目のデートには応じるべきではなかったですね。
緒方には隙があり、また断れない性格、そこへ付け入られました。
そして3度目も会ってしまい、結果として性行為を経て交際に至ってしまいました。悪夢のはじまりです。


【松永の結婚】
1980年―、
松永が19歳のときに結婚した相手女性は、松永が高校時代から交際していた女性である。この女性とはバス停で出会ったといわれ、年上の社会人女性であった。
19歳で結婚しているので、2~3年間交際した末の結婚ではないかと推察。先述のとおり、松永は高校時代に不純異性交遊で事実上の退学処分を食らっており、このときからすでに好色ぶり、女性関係にだらしない様がみてとれる。
ちなみに、松永の妻は緒方と同じ小学校に通っており、2人は一緒に遊んだこともあるなど互いに面識があった。

 

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1982年

【松永】 クリスマス・イヴのラヴソング -愛のメモリー-

1980年―、
高校時代よりの交際、プロポーズを経て至った結婚。ところが結婚後も複数女性との不倫を重ねていた松永。
(妻は松永の不倫を知っていた。当初はそれを止めるよう頼んでいたものの、やがてなんとも思わなくなったという。諦めだろう)

 

1982年 松永21歳

女性関係に事欠かない松永であったが、その中でひとり松永が入れ込んでいた女性(以下:Yさん)がいた。
“彼女をものにしたい”と考えた松永は、音楽好きであったYさんの気を引くために「バンドをやっている」と嘘をつく。
松永はこれを事実にしてYさんを口説くために、楽器や周辺機材を買い揃え、自身の会社の従業員たちに楽器演奏を1か月間猛特訓させた。
(いうまでもなく、松永の担当はヴォーカルである)

こうしてバンドを結成した松永は、同年12月24日にクリスマス・ライブを敢行。久留米市にある1,100人収容の大ホールを借り、意中のYさんを含めた50人ほどの客の前で熱唱した。
ちなみにこの会場には客として緒方がいた。また他の愛人たちもいたほか、このとき妊娠中の妻もいた。

 

筆者:ズボンスキ

狂気のクリスマス・ライブ―、
1,100人収容のハコに50人。しかも素人がたかだか1か月練習したレベルの演奏。客には妻と緒方を含めた愛人たち、そしてターゲットの女性であるYさん。想像しただけでカオスです。

松永はステージ上でYさんに向かって「最高のイヴ!」と叫んだそうですが、”最高”と思っていたのは松永だけだったでしょうね。
松永がYさんを口説くためだけに巻き込まれた人たち、とても気の毒です。バンドを組まされた従業員たちも被害者ですね。

松永の壮大な「口説きプロジェクト」は成就したのでしょうか。

金と時間の無駄ですね。
(カラオケでやれよ)

※ちなみに、筆者は松永がこのライブで「愛のメモリー」を熱唱したと推察しています。


いよいよ悪夢がはじまった。これからさらなる事件が次々と巻き起こり、ドロドロとした人間関係が複雑に絡み合っていく—。【パート3】へ。