城丸君事件 -1-

 

“忽然と消えた少年”

 

『城丸君事件』の概要

1984年(昭和59年)1月、北海道札幌市で発生した事件。当時小学4年生、9歳の男児が失踪・死亡した。

逮捕・起訴後、事件の状況を把握するための有力情報が乏しかったことから、検察は多くの供述を被告人に求めた。しかしそれを翻すべく行使された「黙秘権」。これが世間に注目された事件でもあった。

結果、その判決が物議を醸すことにもなった―。

 

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事件の解説

1984年1月10日 9時30分頃、札幌市豊平区に住む城丸(じょうまる)さん宅に一本の電話が入った。

このとき電話近くにいた次男で小学4年生の秀徳くんが電話に出たが、何か言葉を発するでもなくただ「はい・・・。はい・・・」と返事をするだけ。
その様子を両親と秀徳くんの兄が眺めていたが、その3人ともがどこか異様なものを感じ取っていた。なぜなら電話中の秀徳くんは小声だったからである。まるで家族に聞かせたくないかのような、そんな様子だったのだ。
それを不審に思った母親が、受話器を置いた秀徳くんに「電話は誰から?」と尋ねたが、秀徳くんはそれには答えることなく「ちょっと出かけてくる」と玄関へ。これにも母親が「どこへ行くの?」と尋ねると、

「ワタナベのお母さんが僕のものを黙って借りてたんだって。だからそれを返したいって言うんだ。函館に行くって。車で来るって言うから、そこで返してもらう」

それはまるで意味不明であり、両親が辛うじて理解したのはその電話の相手が”ワタナベさん”という女性であることだけであった。

このときの秀徳くんの言葉はまるで意味が解らない。筆者なりにこれを整理すると―、

「友人・ワタナベくんのお母さんが自分の物を勝手に持ち出していたのでそれを返したいとのこと。しかしこれから函館に行かなくてはならないから、その前に返しておきたい。これから車で近くまで行くから、受け取りに来てほしい」

そういうことであろう。
ところがこれはこれで意味不明である。そもそもワタナベくんの母が、秀徳くんの物を勝手に持ち出すことがよく解らない。息子の友人の物、ましてや小学生の物を無断で借りているのである。そしてなにより、”勝手に借りていた物を返す”ということに対して、秀徳くんも怒ったり安堵したりといった様子が窺えないこともまた不可解である。
筆者が推察するに、これは秀徳くんがとっさについた嘘。子どもがつく嘘は、こうして支離滅裂であることが多い。ましてやそれがとっさについたものであれば、尚のことである。では、なぜこのとき秀徳くんは家族に嘘をつかなくてはならなかったのか―。

 

電話の後、母親にジャンパーを着るよう促されながら、秀徳くんは急ぐ様子で家を飛び出していった。(午前9時35分頃)
このとき母親は秀徳くんの行動に不審さを感じていたため、秀徳くんの兄にそのあとをつけるよう頼んだ。

 

外は前日に降った雪が積もっていたが、秀徳くんは走っていく。気付かれないように兄も小走りで後を追う。
そして二楽荘というアパートのあるT字路で秀徳くんは左に曲がり、すぐに兄もT字路を左に曲がるが、そこにはもう秀徳くんの姿がなかった。
秀徳くんが忽然と姿を消したことに動揺しながらも、兄はその名を呼ぶ。そうして周辺を捜したが、秀徳くんは見つからなかった。しかしこのとき兄は、秀徳くんが消えた二楽荘の隣に「ワタナベ」という表札のかかった民家があったことを確認していた。
そこで兄は、ワタナベさんの家の陰で秀徳くんが出てくるのを待っていたが、出てくる様子がないので一旦家に帰って母親に状況を報告した。

報告を受けた母親は、兄に案内されてワタナベさんの家の前までやってきた。そして2人で秀徳くんが出てくるのを待ってみたが、出てこなかったので玄関チャイムを鳴らしてみることに。
するとドアが開き、高校生の女の子が出てきたので事情を話すと、”小学生など来ていない”という。それどころか、彼女の両親はこの日の朝から外出していたため、”そもそも誰もどこにも電話などかけていない”とも―。


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二楽荘:現在は「アールベル」という名称に変更されている(2020年10月現在)
北海道札幌市豊平区福住1条1丁目9-21

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【城丸 秀徳】
:じょうまる ひでのり

下記情報は事件当時のもの

<年齢>
9歳(札幌市立西岡小学校 4年生) / 次男
長女 13歳・中学1年生
長男 12歳・小学6年生
<身長>
145cm前後
<体重>
30kg前後
<生年月日>
1975年(昭和50年) 月日不明
<居住地>

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