新宿歌舞伎町ラブホテル連続殺人事件 -1-

 

“男と女。二人で入ったのに男ひとりで出ていったら、部屋には死体があるよ”

 

『新宿歌舞伎町ラブホテル連続殺人事件』の概要

1981年(昭和56年)の3月から5月にかけて、東京都新宿区歌舞伎町にあるそれぞれ別のラブホテルで3人の女性が相次いで殺害された連続殺人事件
いずれの殺人においても手掛かりは掴めず、迷宮入りした事件である。

「新宿ラブホテル殺人事件」や「ラブホテル殺人事件」などという呼称が存在するが、いずれも本事件を指す。

 

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事件の解説

第一の事件 @ニューエルスカイ

最初の事件は1981年3月20日 10時頃に発覚。

 

3月20日 1時10分頃、男女が「ニューエルスカイ」の401号室にチェックイン

同日7時頃、男が先にホテルを出る

同日10時頃、チェックアウトの時間が迫っていたが客室からはなんのアクションもないため、フロントが内線電話をかけるも応答なし。これを不審に思った従業員が401号室を訪れ、室内に呼びかける。しかしこれにも応答がないことから中を覗いたところ、横たわる女性の死体を発見。
死因は窒息死。絞殺されたものとみられる

 

被害女性の身元は客室に残されていた名刺から、歌舞伎町の「キャバレー日の丸」に勤める33歳のホステスと判明。

「キャバレー」とは、ホステスが客をもてなす飲食店のことをいう。しかしこれに”ピンク”や”しびれる”などが冠されると、性行為のサービスがある店であることを暗に意味する。事実上のピンクサロンである。

しかしその後に警察が女性の自宅アパートを捜査したところ、その身元が明らかになった。

 

被害女性について

吉田 慶子さん

明らかになったところによると、殺害された吉田さんは年齢は45歳。
(実に12歳もサバ読んでいたことになる。また当然というべきか、客室に残された名刺に書かれた名前と実名とは違った)

兵庫県神戸市長田区出身。
(勤務先所有の履歴書では、彼女の出身地は大阪府此花区出身とされていた)

 

吉田さんは中学卒業後、地元の会社で働いていたが22歳の時に上京。そこで彼女はキャバレーで働きはじめ、やがて客であった男性と交際・同棲。この男性は妻子ある身であったが、協議離婚を経て吉田さんと結婚。その1年後に男児が誕生した。
結婚後、吉田さんは埼玉県所沢市に居住。専業主婦となっていた。

夫となった男性は自動車販売会社に勤めていたが、結婚を機に転職。不動産のセールスマンとなった。しかしこの転職によって収入が減ったことで、家計を支えるため吉田さんは夜の仕事に復帰した。
そんな中、夫は持病の喘息を悪化させ、仕事に出られない日が多くなっていった。すると吉田さんは、喘息に苦しむ夫と同じく病弱な息子(当時7歳)を残して蒸発。事件から6年前の話である。

息子と共に残された夫は妻を捜すも、悪化した持病と生活のための仕事に翻弄される日々。
自身は動けず、妻が生存しているかも分からない状況の中、彼が頼ったのはテレビ番組であった。実際に彼は失踪人を捜すテレビ番組に出演。そうして妻を懸命に探すも、とうとう見つけることはできないまま、ほどなくして死亡した。これによって息子は神戸の吉田さんの実家に引き取られるが、その翌年に死亡。先天性の心臓疾患によるものであった。

吉田さんが夫と息子の死を知ったのは事件の前年6月。神戸の実家に帰省した時のことであった。

この帰省時、吉田さんは実家に息子が預けられていたことに驚いたと思われる。なぜなら夫の死を知らなかったわけであるのだから、”息子は夫と2人で暮らしているだろう”と思っていたはず。その上、息子までもが死亡したことを知らされれば尚のことである。

蒸発の理由、また夫と息子の死を聞いて何を思ったのかは知る由もないが、このとき吉田さんはすぐに東京へ戻っている。

尚、蒸発後の吉田さんであるが―、
都内に居住していたとみられ、新宿や渋谷のキャバレーやサロンを転々としていたことが分かっている。当時の同僚などの証言によれば、吉田さんは店の客に売春を持ちかけて給料以外の金を稼いでいた。しかしこれがうまくいかないときには、周辺で自らポン引きを行っていたという。

 

吉田さんが殺害された後―、
警察が自宅アパート内を調べたところ、衣装ケースの中と屋根裏からそれぞれメモが発見された。これらには夫と息子の名前、そして命日が記されていた。
また彼女が利用していた貸金庫には息子の写真や夫のネクタイピンが保管されていた。そして1,000万円の定期預金証書も。

夫と息子を捨て、身体を売り、また非合法なことで金を稼いでいた吉田さん。それはまるで何かに憑りつかれたようにも映る。しかしそれはもしかすると、息子の手術費用や生活の再建のためであったのかもしれない。


事件は続く。【パート2】へ。

 

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