薬剤師リンチ殺人事件 -2-

これは『薬剤師リンチ殺人事件』に関する記事の【パート2です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1】からお読みください。

薬剤師リンチ殺人事件 -1-


 

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事件の解説

切迫

捕らえられ、麻原のいる第2サティアンへ連行された4人は危機に直面していた。というのも、”元信者らによる施設内への侵入”の知らせを受けた麻原と教団幹部らによって、事態の収拾をいかにするかが協議されていたからである。
その中で幹部らは―、

村井 秀夫:「ポア(殺害)しかないですね」

新実 智光:「このまま帰すとマスコミや被害者の会*に話されます。ポアしかないでしょう」

*オウム真理教被害者の会

井上 嘉浩:「”泣いて馬謖を斬る”*。しかしただポアするのはもったいない。生物兵器(サリン)の実験台にしましょう」

*違反者を厳しく処分することのたとえ

こうした幹部らの意見もあり、麻原は「今から処刑を行う」と口にした。
それから3人の処刑を前にして麻原はYひとりを呼び出し、「Oを殺せばお前らは助けてやる」とけしかけた。

麻原お得意の”自らの手を汚さない”がここでも。

 

捕まったことで当然4人ともが殺されると思っていたYであったが、思わぬところで麻原からの”救いの手”が。

“3人全員殺されるか”

“Oさんを殺して自分と母さんが助かるか”

その選択に迷っていたYは時間稼ぎのため「どうしてもやらなくちゃいけないんですか?」と言ってみたり、また麻原の気を変えるために「今日は父の運転で来たんです」などと半ば的外れなことを言っていた。ところが麻原はそれを翻し、Yにその決断を迫った。
そこでYが「本当にやったら帰してもらえるんですか?」と麻原に尋ねると、「私が嘘をついたことがあるか」との返事。その言葉により、Yは悩んだ末にOさん殺害の決意を固めたのだった。

 

処刑

その場の空気から、自らの死を悟ったOさん。
そのOさんは目の前にある死に怯えながらも、「気にするな。それより巻き込んじゃってごめんな」とYに対する気遣いをみせた。

そしていよいよOさんがガムテープで目隠しされると麻原は、「Oは催涙ガスを使ったんだったな。それなら同じことをしてやらないといけないな」と口にした。
するとその場にいた幹部らによってOさんは手錠、そして頭部にビニール袋を被され、その隙間から催涙スプレーを噴射された。そのまま幹部数名に押さえつけられたOさんは、袋内に充満する催涙ガスで苦しみ暴れたため袋が破け、ガスが漏れて部屋内に漂った。
そこで幹部のひとりが換気のために窓を開けると麻原は、「何やってるんだ!周りに聞こえるじゃないか!」と怒鳴りつけ、窓はすぐに閉められた。そこで袋内のガス漏れを止めるため、さらにもう1枚袋を被せられたOさんであったが、その時は目前であった。新実がロープを持ってきたのである。
「もうしないから助けてくれ」と懇願するOさんを余所に、Yは幹部らに押さえつけられているOさんの首を絞めて殺害した。

 

殺害後

YによるOさん殺害を見届けた麻原はYを自分の前に座らせると、「お前が犯した悪業は拭うことのできない大悪業であり、ちょっとやそっとでは消えない。だからまた入信して週一回は道場に来い」と再入信を促した。そしてその最後に「お前はこのことを知らない」と付け加えた。

そして麻原は、「あいつが殺したんだから警察には行けないだろう。大丈夫だ」とYと母親の解放を幹部らに指示した。

【お前はこのことを知らない】
この言葉の意味は、”O殺害を口外するな”ということである。麻原の言うとおり、自ら殺人を犯したYが口外することはまず考えられないことであったが、最後に念押しの意味での、脅迫同様の言葉といえる。当然、このときYはその意味を捉えていた。

 

こうして解放されたYとその母親は、その間ずっと待機していた父と弟のいる車へ戻り、そして生還した。
とはいうものの、
身の危険を感じたY一家はそれからすぐに神奈川県川崎市内の自宅アパートを引き払い、秋田県に潜伏した。

ところがその後、Y一家失踪の情報を掴んだ麻原は、薬物を使った一家拉致を幹部らに命令。これを受けた幹部らが一家の潜伏先へ向かったが、警察に通報されたことにより拉致は失敗に終わった。

 

事件後Oさんの遺体は、第2サティアン地下室に隠されたマイクロ波焼却装置で粉々に焼却された―。

オラクルベリー・ズボンスキ(小野 天平)

 

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